咬み合わせが不安定になっていると、しっかりとものが咬めないだけでなく、頭痛や肩こり、腰痛といった全身症状を引き起こすこともあります。
お口の中のトラブルというと、ほとんどの方がむし歯や歯周病をイメージされると思います。でも、健康的な生活を送るために重要なのが「咬み合わせ」です。咬み合わせがずれていると、食べ物がうまく咀しゃくできなかったり、話すときに息が漏れてしまったりします。
咬み合わせはむし歯などと違い、少しくらい悪くなっても痛みなどの自覚症状を感じるわけではありません。だからこそ、気がついたときにはかなりずれてしまっているということもあり得るのです。
咬み合わせが悪くなる原因
咬み合わせのずれは、ほんの少しの刺激によっても起こります。たとえばむし歯治療の詰め物が少しだけ高かった、頬の内側に口内炎ができたといった些細なことでも、無意識のうちに咬み合わせを変えてしまうことがあります。
また、うつぶせ寝、歯ぎしり、食いしばり、頬づえなど、お口に力をかけるような習慣から咬み合わせのずれが起こることもあります。さらには、常に足を組んでいるといった斜め座りのクセから、咬み合わせがずれてしまうこともあるのです。
それでは、正しい咬み合わせとは、一体どのような状態なのでしょうか。
上下の歯を咬み合わせたときに、すべての歯にバランスよく力がかかっている状態です。一部の歯だけに力がかかるようになっていると、その部分の歯や歯ぐきが痛んで、歯周病などを引き起こすことがあります。また、過剰な力がかかることで、顎関節が変形してしまうこともあります。
咬み合わせが不安定になっていると、体全体のバランスが崩れてきて、頭痛や耳鳴り、めまい、首の痛み、肩こり、背中の痛み、腰痛、女性の場合は生理痛といった症状を引き起こすこともあります。いわゆる「不定愁訴」(ふていしゅうそ)と呼ばれる症状で、その原因が思い当たらないときは、咬み合わせを疑ってみてください。
当院の咬み合わせ治療では、シロナソアナライザー(咀嚼機能測定器)や、顎の位置を計るフェースボウトランスファーを使って、患者さんの咬み合わせを測定します。そのデータに合わせて咀しゃく運動を行い、正しい位置で咬み合わせができるようにお口の筋肉を鍛えます。
詰め物、被せ物、義歯などが原因の場合は、削ったり調整したりといった治療で、咬み合わせの高さを揃えます。痛みなどがある場合には、同時に痛みを取り除く治療も進めます。また、日常の生活習慣や毎日の食事が不安定な咬み合わせの原因になっていることもあるので、生活習慣のアドバイスも行っています。
シロナソアナライザー
全身の健康は、咬み合わせのバランスに左右されることが多いのです。肩こり・腰痛・頭痛・めまい・生理痛などの症状も視野に入れた治療を行います。顎関節症の場合には、実際にガムを咬んでいるときのあごの動きをデジタル化し、診断に使います。
咬み合わせの治療は、従来の咬み合わせ理論では足りないことがわかっています。この測定器を使うことによって、劇的に診断精度が上がります。この方法を使って治療を行えば、歯周病の予防にも役立ちます。
フェースボウトランスファー
その人のあごや顔の大きさを計測することで、より精密な咬み合わせの調整をすることができます。それほど精密な調整が、顎関節症等の治療には必要です。また、当院の入れ歯が安定しているのは、この理論と方法を応用しているためです。